「楽譜にたくさんのヒントがあるのです」演奏家インタビュー:ジョスラン・オブリュン(オブラン)氏(リヨン国立管弦楽団首席フルート奏者、Jocelyn Aubrun, Flute)






Photo : Jean-Baptiste Millot

[English is below Japanese]

リヨン国立管弦楽団(Orchestre National de Lyon)首席フルート奏者、ジョスラン・オブリュン(オブラン)氏(Jocelyn Aubrun)に、設問に答えて頂く形でインタビュー取材を行いました。

連絡を取ったのは久しぶりでしたが、快くインタビューにご協力いただきました。

すでにフルートを始められて長い方も、初心者の方も、これから始めてみようかなと思っていらっしゃる方も、はたまたフルートに興味はない方も、皆々様ぜひご一読ください。


1. まず簡単にあなたの生い立ち、どこでどのように育ったのか、プロのフルート奏者としての活動を始めたきっかけは何だったのか、などについて教えて頂けますでしょうか?

私は5歳から音楽を習い始めました。
最初はピアノ(今でも練習しています)、そして9歳からフルートを始めました。
その後、CNSMD(リヨン国立高等音楽・舞踊学校)リヨン校のフルート科でフィリップ・ベルノルド(Philippe Bernold)に師事し、ジュネーブの高等音楽院のバロック・フルート科でセルジュ・サイッタ(Serge Saitta)に師事しました。

 

2. これからフルートを始めたいと考えている人や、演奏を始めたばかりの人に向けて、フルートにどのような魅力を感じているかについて教えて頂けますか?

フルートは世界で最も古い楽器のひとつで、膨大なレパートリー(特にバロックのレパートリー)を持ち、現代の作曲家たちが探求し続ける可能性をたくさん持っています!
また、オーケストラの中で、他の楽器と音を混ぜる際にも意味をなすのです!

 

3. 練習や演奏をする際、特に注意していることや心がけていること、あるいはあなた独自のルールはありますか?

私は演奏するとき、まず基本的なことに細心の注意を払います。イントネーション、リズム・・・
作曲家が何を望んでいたのかを読み解こうとします・・・そのために、調性、ニュアンスなど、楽譜にたくさんのヒントがあるのです。

 

4. 演奏家として人生のターニングポイントとなったエピソードがあれば、それについて教えて下さい。

たくさんあります!

ジャン=イヴ・ティボーデ(Jean-Yves Thibaudet)やトン・コープマン(Ton Koopman)との室内楽コンサートや、リヨン国立管弦楽団での同僚たちとの素晴らしいコンサート(レナード・スラットキンやニコライ・シェプス=ズナイダーほか多くの指揮者の指揮で)!

 

5. ご自身の演奏に強く影響を受けた他の演奏家がいれば、彼らからどのような影響を受けたのか教えて下さい。(クラシックでなくても構いません)

私はピアノ音楽に夢中で、S.リヒター、A.ブレンデル、A.シフ、M.ペライアのような偉大なピアニストたちと共演しています。

また、所属のオーケストラで素晴らしい音楽家たちと一緒に演奏する機会もあり、彼らは自分を超えるよう励ましてくれます・・・(オーボエ奏者のクラリス・モローのように)。
現在のフルート奏者の中では、友人のマチュー・ゴーシ=アンスラン(Matthieu Gauci-Ancelin)をとても尊敬しています。

 

6. 将来の目標(またはこれから新たに取り組みたいこと)について教えてください。

ヴァイオリニストの兄とピアニストのスティーブン・ヴァンハウエルトと一緒に、マルティヌーの音楽に捧げたディスクをアメリカで録音する予定です。

その一方で、2024年6月にはサントリーホールの「ミュージック・ガーデン」で、ピアニストの小菅優さんや他の素晴らしい音楽家たちと、ラヴェルやシェーンベルクなどの壮大なプログラムを日本で演奏できることをとても楽しみにしています!

 

7. 最後に、アマチュア奏者の方や愛好家の方に向けて今一番伝えたいメッセージをお願いします。

音楽は、読書と同様、私の人生における大きな楽しみのひとつであり、私の人生に音楽があること、そしてそれを分かち合うことは、計り知れない機会だと感じています!

 


インタビューは以上です。ジョスラン・オブリュンさん、ありがとうございました!

 

取材・文:梅本周平(Wind Band Press)

 

 


Interview with Jocelyn Aubrun, Flute1. Would you start by briefly telling me about your background, where and how you grew up, and how you got started as a professional Flute player?

I started learning music at the age of 5.
First with the piano (which I still practice), then the flute from the age of 9.
I then completed my higher studies at the CNSMD Lyon in flute with Philippe Bernold, then at the Haute Ecole de Musique in Geneva in baroque flute with Serge Saitta.

 

2. Would you tell me what you find attractive about the Flute, for those who want to start playing Flute or those who have just started playing?

The flute is one of the oldest instruments in the world, with an immense repertoire (especially in the baroque repertoire) and with lots of possibilities that contemporary composers continue to explore!
It also makes sense within the Orchestra when it mixes its sounds with the other instruments!

 

3. When practicing or performing, are there any rules that you pay special attention to, keep in mind, or that are unique to you?

When I play I first pay close attention to the basics: intonation, rhythm….
I’m trying to decipher what the composer wanted….
for this I have a lot of clues on the score: tonality, nuances.

 

4. Would you tell me about any episodes that were turning points in your life as a player?

There are so many !
I remember chamber music concerts with Jean-Yves Thibaudet and Ton Koopman, or even fabulous concerts within the Orchester National de Lyon with colleagues (under the direction of conductors like Leonard Slatkin or Nikolaj Szep-Znaider.. ..and many others!)

 

5. If there are other players who have strongly influenced your playing, would you tell me how they have influenced you? (It does not have to be classical music)

I am obsessed with piano music, with great pianists like S. Richter, A. Brendel, A. Schiff, M. Perahia. I also have the chance to play with wonderful musicians in my orchestra who encourage me to surpass myself… (oboist Clarisse Moreau). Among current flautists I am very admiring of my friend Matthieu Gauci-Ancelin.

 

6. Would you tell me about your future goals (or new initiatives you would like to undertake in the future).

I am going to record in the United States a disc dedicated to the music of Martinu with my violinist brother and the pianist Steven Vanhauwaert.
On the other hand, I am very excited to come and play a magnificent program in Japan at Sunthory Hall Music Garden (Ravel, Schoenberg, etc.) with pianist Yu Kosuge and other wonderful musicians next June!

 

7. Finally, what is the most important message you would like to give to amateur players and fans?

Music is, like reading, one of the great pleasures of my life and I find that it is an immense opportunity to have it in my life, and to share it!

 

Interview and text by Shuhei Umemoto (Wind Band Press)




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